楽しむことが大事 でも、楽をして強くはなれない
アスリートインタビュー#6 ロードレーサー 中村圭佑選手
100㎞を超える長距離を車と同じくらいのスピードで駆け抜ける自転車ロードレース。毎年夏になると、フランスで開催される世界最高峰の大会「ツール・ド・フランス」には世界中が注目し熱狂します。
そんな自転車ロードレースのプロチームが広島にもあります。広島市を拠点に日本一を目指す「ヴィクトワール広島」の広島出身の中村圭佑選手に、プロ選手として活躍するまでのストーリーを聞きました。
|兄の背中を追いかけて
―自転車競技との出会いは?
中村 10歳離れた兄が広島国際学院高校の自転車部に入り、自転車が競技であることを初めて知りました。自転車は小学1年生の時から乗っていました。コロをつけて乗った記憶はありません。
―本気になった理由は?
中村 小学校低学年でキッズ用競技用自転車・ロードバイクを買ってもらいました。大人用とサイズが違うだけの本格的な競技用自転車です。友達と遊ぶ時も乗っていて、誰もよりも速かったですね。自転車に乗っていると景色が後ろに流れていきます。速くてかっこいいのが魅力です。
兄の練習について行ったり、一緒に練習してもらったりしました。初めてレースに出たのは小学4年です。
僕は4人兄弟で、それぞれが好きなことをつきつめていて、両親も応援してくれました。兄弟のように夢を叶えたい、兄に負けたくないという気持ちから、自転車競技に本気になりました。自転車以外の他のスポーツをしたことはありません。
|世界最高峰の大会が教科書
―強くなるためにしたことは?
中村 中学生で一生懸命になりすぎて、燃え尽きて競技をやめてしまう仲間を見てきました。中学生のうちは自転車を楽しみ、高校で成長する伸び代を残しておこうと考えました。
ただ、楽をして強くはなれません。自分にとってつらい練習をすることを心掛けてきました。練習方法はいろんな人の話を聞いたり調べたりして組み立てました。世界最高峰の大会「ツール・ド・フランス」の映像もよく見ていました。ハンドルの握り方、レースの駆け引きなど学べることがたくさんあり、自転車ロードレースの教科書です。とにかくかっこいいので、モチベーションアップにもなりました。
|多くの応援が責任感に
―高校の自転車競技生活は?
中村 たくさんの方の協力で、高校で自転車競技を続けることができました。結果を出さなければという責任感が生まれ、レースで勝つことだけを考えました。この頑張りが大学進学につながりました。自転車競技を続けてみたいと思うようになりました。
中高生のころは体力も無限にあり、強くなりたいという思いから練習をしすぎてしまう傾向があります。僕は周りの人が練習を止めてくれました。競技を続けるためには、故障しないようにする努力も必要です。
高校3年生の時、ヴィクトワール広島ができました。大学4年の時に、ヴィクトワール広島の監督から声をかけてもらいプロになりました。
|地元にプロチームがある幸運
―2024年の意気込みは?
中村 ヴィクトワール広島をたくさんの方が支えてくださっています。支えられているということは、それにこたえる責任があります。一つ一つの大会を大切に競技していきたいです。
地元でプロ選手生活を送れるなんて幸運です。地元にプロチームがなければ、自転車競技を続けていなかったと思います。地元出身なので、小学校から応援してくださっている方もいて頑張る力になっています。
また、広島県民がカープを応援するように、ヴィクトワール広島を応援していただく雰囲気づくりにも挑戦したいです。
―スポラブ読者にメッセージを。
中村 広島県出身の選手が少ないので、もっとプロ選手が増えてほしいです。僕が続けてきたルートも参考にしてもらえるのではないかと思います。広島県出身選手として一緒に走ろう!
ヴィクトワール広島 中村圭佑選手
広島市南区出身。1998年9月25日生まれ。
広島国際学院高校(安芸郡海田町)自転車部に入部。活躍が自転車競技の名門、国立鹿屋体育大学(鹿児島県)の目に留まって進学。2021年からヴィクトワール広島に所属。
趣味はバイク。好きな食べ物はお好み焼き。
4人兄弟の2番目。
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