第1話 子どもは大人の小型版ではない

スポラブの読者さんは、スポーツを頑張っているお子さんをお持ちの保護者さんではないかと思います。私の治療院にもスポーツを頑張る小中高生が毎日、故障の治療やメンテナンスなどを目的に来ています。私自身も現役市民ランナーとして身体を使ってスポーツを楽しんでいます。


今回は治療院に来るお子さんの治療をしていて、問題だと考えていることを書きます。

問題❶子供は大人の小型版ではない

子供の故障の原因のほとんどは「使いすぎ」です。こう言うとほとんどの大人は「そんなに大した運動してないですけど」と反論されることがあります。この場合の「使いすぎ」とは「未発達な身体に対して負荷が多い」と言うことを示します。

骨の数が減ることが成長現象


一つ面白いデータを紹介します。大人の骨の数は2 0 6 個です。これに対して赤ちゃんの骨は3 0 0 〜3 5 0 個と言われています。大人になると骨が減ると言うことは「加齢現象か?」と思われるかも知れませんが、実際は成長現象なのです。

赤ちゃんの時の小さな骨同士が大人になるに従って癒合して大人の骨になってゆくのです。


赤ちゃんの頭のてっぺんは触ると凹んでいませんか? 大人になると頭蓋骨として硬い1 枚の骨になっていますが、赤ちゃんは8 枚の骨が頭蓋骨を形成しています。これが成長に従って1 枚になり大人と同じになるのです。

骨端線(こったんせん)とは?


このように、頭蓋骨に限らず、足・腕・背骨・骨盤などすべての骨が、大人にとって1個の骨でも、子供にとっては小さく分離した柔らかい状態なのです。この成長に伴って癒合してゆく部分を骨端線こったんせん)と言います。この骨端線が正常に成長してゆくと、身長が伸びたり強い骨になります。そして16〜20歳で骨端線の成長は終わります。

適切な運動刺激は骨端線の成長を促しますが、不適切な運動刺激( 繰り返す過大な負荷) は骨端線を破壊し、修復不可能な状態になってしまいます。


そもそも、水分の多い柔軟性に富んだ組織を持つ、子供が痛みを訴えている時点で異常です。痛みを訴えているにもかかわらず、運動の中止をさせない、治療を行わない、放置したままの指導者や保護者もいます。

子供の骨端線異常を長引かせてはいけない


野球の腰や肩の故障・バレーの膝や肩の故障・陸上の足の故障など、どのスポーツでも多用する部位にその症状が出ます。

子供の骨端線異常が長引けば、常に故障持ちの身体になり高校や大学に行っても十分なプレイが出来ずに引退した。という悔しい話を聞くことも少なくありません。永遠の傷を残すよりも早めの対応で長期的に活躍できる身体作りを願うばかりです。

それを防げるのは指導者と保護者の観察力と判断力と決断力だけです。子供にその責任を負わさないようにお願いします。


ボディバランス整骨院 院長 BBR(ボディバランス★ランナーズ) 主宰 廿日出庸治

*柔道整復師/カイロプラクター/キネシオテーピング指導員
*西条駅前徒歩30秒にボディバランス整骨院を開院して23年。
*登録者1,100名のランニングコミュニティを主宰
*“走る院長”として100m~100キロまで走るランナー

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