1話 話す内容の順番を変えるだけで、子どもが変わる!?

スポーツを頑張る子ども達を日々応援し続け、サポートする保護者や指導者の方々の中には、良かれと思って子ども達にかけた言葉が意欲低下となってしまった…という苦い経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。例えば、練習や試合で結果に対する反省を行う場面で、指導者は、まず自身の気持ちを伝えようとしますか?それとも選手の気持ちを聞き出し整理させますか?実は話をする内容の順番によって、選手の能力に差が出ることがわかっています。今回は、「成功循環モデル」と「質問の力」を学んでみましょう。


Lesson1 話すことの順番を考える(関係性を高める組織の成功循環モデル)

マサチューセッツ工科大学の元教授ダニエル・キム氏の提唱したモデルをスポーツ場面に置き換えてみると、コーチと選手が同じ目標を持ち、成果を上げるうえで、いきなり「結果」を求めにいってしまうと「関係」が悪化
し「思考」が鈍り「行動」に表れて「結果」が出せなくなる悪循環(バッドサイクル)となります。

 そこで、まずはお互いを尊敬する「関係」をもつことで、いろんな「思考」が生まれ、新しい挑戦に向かう「行動」に移します。すると「結果」がついてきて、「関係」がさらに深まる好循環(グッドサイクル)が生まれます。

 「共通の目的」や、そこへの「協働」を目指して「関係の質」を高めていくことで、初めて「意識」「行動」「結果」がともなっていくのです。


Lesson2 子ども達の心の扉を開こう!質問の力【To Me( 自分の気持ちの言葉)To You(他者への気持ちの言葉)】

成功循環モデルで述べたように、コミュニケーションにおいて、指導者の思いを始めに示すより、選手の心の扉を開いたうえで、気持ちを高める質問をし、自ら振り返らせ、改善し主体的に行動するようにさせます。To Me とTo You を上手に使い分けます。

【質問の事例】

「なぜできないんだ」はTo Me、これをTo You に変換すると「どうしたかったの」となります。こうすることで、選手の立場から話が始まります。

選手のパフォーマンスを上げる質問

「どうしたかったの?」
「行動してみてわかったことは何?」
「どこがよかったの?」
「どこを意識していたの?」
「なぜそれがいいと思う?」
「何があればもっと確実になる?」
「どこを意識すればいい?」
「あえて調整したいことはある?」

などなど、いろんな質問を考えて文章リストにしておくといざというときに使えます。

私の覚えている最高の言葉のプレゼントは、2001年の大相撲千秋楽 元首相小泉純一郎氏が表彰式で横綱
貴乃花に対して表彰状を読んだ後、「痛みに耐えて、よく頑張った!感動した!!おめでとう」と絶叫した。この言葉は、ToYou からTo Me で伝えられ、多くの人々を感動させました。あなたの前のアスリートにはどのような言葉
をかけますか?

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